水耕栽培がつなぐ農と福祉!「COMSFARM」

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水耕栽培がつなぐ農と福祉!「COMSFARM」

2017年6月 8日 UP

Brasserie coron×いいね!農styleコラボ企画
おいしくて楽しい生産者トーク&交流会「coron marche de saison(コロンマルシェデセゾン)」。5月のテーマは「水耕栽培」。今回は石狩市の農業生産法人「COMSFARM(コムズファーム)」の高野由美さんが登場し、楽しいトークを披露してくれました。
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この日の司会進行役は、おなじみ「いいね!農style」の伊藤新。「COMSFARM」はもともとコンサルティングを生業とする会社なのだそうですが、なぜ農業に参入を?というお話は農style file vol.20 コンサルタントが農家になった/コムズファームをご参照ください、

伊藤が高野さんにマイクをバトンタッチすると、農業には『人』『燃料』『売り先』が大切なのだと切り出しました。

「私たちは農地の取得と同時に指定就労継続支援B型事業所を立ち上げました。利用者の皆さんに農作業で体を動かして心身を健康にしていただくとともに、経済的な自立を目指してもらうためです。障がいを持つ方は集中力が高く、例えば豆の選別をはじめ一つの技術を身につけるのが早いという特長を持っていたりします。こうした農業と福祉の連携で働いてくれる『人』と、障がいを持つ方の『働く場』を確保するのもミッションの一つです」
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「COMSFARM」は農薬を一切使わない水耕栽培が得意分野。農業用ハウスの中に腰高の棚を作り、野菜の種をウレタンに蒔いて水を循環させることで成長を促しているそうです。水耕栽培の大きな特長は冬でも農作物を育てられるところ。障がいを持つ方が1年を通じて働ける反面、冬場には暖房が欠かせません。

「灯油や重油を燃料にすると、コストがかさむ上に環境にも良くありません。なので、私たちは商店街の飲食店にお願いして廃棄する天ぷら油を譲ってもらい、廃油ストーブでハウス内を温めています。これが私たちの『燃料』です」
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伊藤が「じゃあ、最後の『売り先』はどうですか?」と尋ねると、高野さんは「それは私が東へ西へ、南へ北へ、車で地道に駆け回っています」といたずらっぽく笑います。今は催事やイベント、飲食店への配達で販路を開拓しているところ。さらに、マルシェなどに出店する時は近所の農家に一緒に売れるものがあるか聞いています。
「同じ農家ですから、突然野菜が余っちゃったなんて時の気持ちは分かります。だから売り切れる量を決めた上で、すべて買い取ってから販売しているんです」


「COMSFARM」の立ち上げから約4年。初めはサラリと淡白な野菜ばかりが採れたといいますが、最近では露地ものに負けない濃い味に育て上げられるようになったと高野さんは胸を張ります。農業と福祉を連携させたビジネスモデルは上々の滑り出しのようですが、胸中には水耕栽培ならではの不安も抱いているのだそうです。
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「私たちの水耕栽培は自然採光を取り入れたスタイル。夏場は1カ月ちょっとで多くの野菜が育ちますが、日照時間の短い冬は3カ月ほどかかります。LED照明と整えられた空調で植物工場のような水耕栽培の方法ももちろんあります。どちらが正解ということはありませんが、果たして人の手と技術でどこまで自然のサイクルを変えて良いのかと考えたりもします。昔ながらの農業の良さと水耕栽培をどう馴染ませるのかが今後の課題ですね」

生命の倫理観にもつながるような話題で第一部のトークは終了。続いて塚田宏幸シェフが登場し、この日のお料理について説明してくれました。
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この日のメニューは...
◎冷製カッペリーニ・コムズの風景
◎真鯛のモホソース サラダ ハーブのドレッシング
◎牛肉のタリアータとセルバチコ
◎coronのパン
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「カッペリーニとはごくごく細麺のパスタです。たくさんの野菜とともにお皿の上にCOMSFARMの水耕栽培の風景を表現してみました。新鮮な真鯛にかけたのは、高野さんのクレソンやペンネルといった野菜で緑色に仕上げたソースです。それと...今日はサラダ、サラダ、サラダな感じが強くて怒られそうだったので(笑)、白老牛のランプにセルバチコというルッコラの兄弟と二世古酒造の酒粕を使ったソースをかけてみました」


お食事タイムには「どれが水耕栽培の野菜か分からない」と塚田シェフに語りかけて「サラダの下に隠れている水菜がそうですよ」と教えてもらったり、「このルッコラを食べると血が巡る感じがする」と高野さんに感想を伝えたり、思い思いの交流を楽しんでいるようでした。
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第二部は高野さんと塚田シェフのトークセッション。もともと知り合いだったというお二人は、今回のイベントに向けて「COMSFARM」で食材の相談をしたのだとか。
「といっても、塚田シェフのセルバチコはない?とか、レタスはどこ?という指令に合わせて畑を走り回っただけ(笑)」と高野さんが笑いを誘いました。すかさず塚田シェフが「あの...今回は結構しつこく、こんな野菜はないの?ってリクエストしました(笑)。高野さんは自分で自分の野菜をきちんと食べてオススメしてくれるから、ついつい信頼しちゃって」と理由をお話しします。
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伊藤が会場の皆さんに「ゴジュウド洗いって知ってますか?」と尋ねたことから、話題は野菜の洗い方へ。かつては低温の水洗いが良いとされていましたが、今は50℃くらいのぬるま湯で野菜の気孔を開き、十分に水分を取り込むことで瑞々しさを生み出すのがトレンドだといいます。

塚田シェフに50℃でどのくらい洗うのか聞くと、「葉の厚いものは長時間でもいいけれど、基本はサッ、サッ、です。サッ、サッ」とのこと。擬音を駆使した説明に会場のアチコチから笑い声が響きましたが、皆さんにはどことなく伝わったようです。
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「COMSFARMは水耕栽培という特殊なスタイルもさることながら、石狩花川地区という札幌近郊で珍しい野菜も作っているところが助かっています。ゆくゆくはこのお店の食材を札幌100%にしてみたいと思っているので、高野さんのような方とタッグを組めるのはうれしいです」と塚田シェフ。


その言葉に応えるように高野さんは「まずは指定就労継続支援B型事業所の利用者の皆さんが一般就農出来るくらいに自立し、農家になりたいという人を増やすのが目標。そうして農業が活性化し、幹の太い経営が成り立つようになったら、札幌に水耕ハウスを建てたいですね」と締めくくりました。
当日限定のマルシェでは高野さん自慢の「ハンサムレタス」を手に取ろうと、多くのお客様が列を作っていました。次回のテーマは北海道の初夏の味覚「アスパラ」。ぜひ、ご参加ください!
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