地域の中でふだん使いの「食糧」を!「はるきちオーガニックファーム」

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地域の中でふだん使いの「食糧」を!「はるきちオーガニックファーム」

2017年10月16日 UP

Brasserie coron×いいね!農styleコラボ企画
おいしくて楽しい生産者トーク&交流会「coron marche de saison(コロンマルシェドセゾン)」。9月のテーマは「とうもろこし」。今回は石狩市で15年ほど有機農業に取り組んでいる「はるきちオーガニックファーム」の小林卓也さんをゲストに、時間が足りない...と思うほど内容の濃いトークセッションが展開されました。
※はるきちオーガニックファームの記事は、農style file vol.9もあわせてご覧ください。
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この日の司会進行役はおなじみ「いいね!農style」の伊藤新。まずは小林さんの自己紹介を皮切りに楽しい会がスタートしました。

「僕は石狩生まれ、石狩育ちの38歳。高校時代は環境問題に興味があり、北海道大学工学部環境工学科に進学しました。ところが、研究を進める上で農業が抱える課題とぶつかるようになり、次第に有機栽培についての知識欲が湧き上がってきたんです。で、15年ほど前に新規就農し、今はとうもろこしやかぼちゃ、じゃがいも、ビーツなど100種類くらいを栽培しています」
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実は、小林さんのご両親も農家なのだとか。伊藤が「どうして後継ぎにならなかったのでしょうか?」と素朴な疑問をぶつけると、「う~ん...実家では絹さやとかを作っているんですが、その時にやっていた農業のスタイルに興味が持てなくて(笑)」とポツリ。何とも正直な言葉に、実直な人柄を感じます。

伊藤が「はるきちオーガニックファーム」のホームページでグッときた言葉は「野菜を、人間の都合で作るのではなく、野菜の都合で作っています」。そのココロを小林さんに尋ねました。

「野菜は旬の時期に育てるのがイチバン。そして、土地に合ったものを作るのが大前提だと思います。例えば、ウチの農場は土がサラサラで根が乾きやすいんです。なので、その特徴に適しているとうもろこしを手がけ、残さ物を堆肥として活用することで翌年はかぼちゃやじゃがいもを作っています。僕はその時々の野菜が育ちやすいよう、土の栄養価や微生物を生かしながら環境を整えるサポーター役なんです」
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小林さんが目指すのは理にかなった循環型の有機農業。さすがは難関大学の出身者...と思いきや、新規就農したばかりのころは「有機だ、環境が大事だと頭がカタイことばかり考えていました」と苦笑しながら振り返ります。

「かつての僕は野菜を買ってくれる人のために農と向き合っていました。だけど、今は4歳と1歳の息子が喜んで食べてくれるのが何よりうれしい。子どもたちの糧になるものを作ることこそが、この仕事の魅力なんだって考えるようになったんです。上の息子は収穫を手伝ってくれたりするんですが、そんな時に『農薬をまいたから農場に入っちゃダメ』とはいいたくないと改めて思います」
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もちろん、小林さんは有機農業以外を否定するつもりはまったくありません。むしろ、一般に比べて価格が高くならざるを得ないことに頭を抱えています。だからこそ、流通コストがかからない直売所では、地域の人々にふだん使いの「食糧」としておいしさを届けたいとできる限り格安で販売しているのです。

「僕はJA青年部としても石狩の新規就農を応援しています。ここ最近は『JAいしかり地物市場とれのさと』に出店したり、RSRと手を携えて循環型の農業を発信したり、マチが盛り上がるような取り組みにも力を入れているんです。今日は自称石狩観光大使としてTシャツまで着てきちゃいました(笑)」

地元愛にあふれた言葉に会場が沸いたところで塚田宏幸シェフが登場!小林さんが作る「ハニーバンタム」はとうもろこしの香りと穀物のコクのバランスが絶妙と絶賛し、この日のお料理を説明してくれました。
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「一品目はハニーバンタムを使ったムース。チキンコンソメで味を調え、フォアグラと合わせました。かぼちゃのニョッキは、甘みが際立つホワイトショコラ(とうもろこしの品種)のソースをつけて召し上がってください。ビーツはシンプルな岩塩焼きにし、ハマナスの香りを加えました。『はるきちオーガニックファーム』に足を運んだ際、石狩の花でもあるハマナスの良い匂いが漂っていたのが実に印象的で、この一皿に表現したいと思ったんです」

今回のメニューは...
◎とうきびのムースとフォアグラ
◎ビーツのオーブン焼き
◎カボチャの焼きニョッキ ホワイトショコラのソース
◎coronのパン
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待望の食事タイムが始まると、「おいしい」「甘みと深みがある」の声があちこちから聞こえてきました。合間には塚田シェフにとうもろこしのおいしい食べ方を尋ねたり、小林さんと農業の行く末を語り合ったり、今回もお客様とのふれ合いは大盛況!
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食事が一段落すると小林さんと塚田シェフで後半のトークセッションへ。まずはとうもろこしの受粉について「へぇ」なお話が展開されました。

「とうもろこしのヒゲは、いわゆるめしべ。それが受粉すると黄色くなって実がつくんです。ただ、ヒゲが青いうちに虫に食べられると、実の一部だけ太らずいびつな形になります」と小林さん。塚田シェフも「時々、とうもろこしの実がまばらになるのはそういう理由なんだ」と感心していました。

ちなみに、とうもろこしの花粉は数百メートルも飛ぶそうで、いろんな品種を育てていると、まれに別のものが混ざることもあるのだとか。実が白い「ホワイトショコラ」に一つだけ黄色い粒が生まれることもありますが、「それはもう仕方がないことなので、ハッピーイエローと呼んでいますね」と小林さんはいたずらっぽく笑います。
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塚田シェフはとうもろこしのオススメの茹で方をアドバイス。「水1リットルに対して塩を10グラム入れ、薄皮を一枚残して8分ほど茹でるとおいしく仕上がります。その際はエグみのもととなるお尻の部分を削るのがポイント」。小林さんも「あと、ハニーバンタムは生のうちに実を削いで、芯を炊くと良いダシがとれます。できれば皮やヒゲも煮るととうもろこしのおいしさが丸ごと味わえるはず」と言葉を継ぎます。
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楽しい時間もあっという間。最後は小林さんの一言で会の終了を迎えました。
「こういう機会に参加できて本当にうれしかったです。今日は農業の魅力、石狩の魅力、そして僕の魅力をわずかではありますがお伝えできたと思います。ただ、自分が作ったものを生かしてくれる塚田シェフがいてこそ成り立つセッション。人と人とがつながり、農業の豊かな輪を広げられるようにこれからも努力したいです」

この日の会場限定ミニマルシェは、ポップコーンやつるむらさき、空芯菜にわさび菜などさながら八百屋。お客様の列がしばらく絶えませんでした。小林さんの野菜は農場に隣接する直売所(ゴールデンウィーク~11月中旬)のほか、「JAいしかり地物市場とれのさと」、札幌の「フーズバラエティすぎはら」や「フレッシュファクトリー」で購入できます。ぜひ、足を運んでみてくださいね。
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