家族の絆を深めるゆり根。「伊達農園」

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家族の絆を深めるゆり根。「伊達農園」

2018年3月 1日 UP

Brasserie coron×いいね!農styleコラボ企画
おいしくて楽しい生産者トーク&交流会「coron marche de saison(コロンマルシェドセゾン)」。2018年の幕開けを飾ったゲストは、甘~いゆり根を手がける「伊達農園」の伊達敦さん。およそ1年ぶり、二度目のご登場です!
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昨年に引き続き、司会進行役を務めるのは「いいね!農style」の伊藤新。さっそく伊達さんをご紹介すると、会場は温かな拍手に包まれました。

「昨年来ていただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、簡単に自己紹介します。僕は関西出身。もともと農家を営んでいたワケでもなく、子どもの生活を大切にしたいという考えから『農』の道を歩もうと考えました」
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きっかけは、奥様の同級生が十勝の酪農家に嫁いだこと。結婚式に招かれた際に、ご親族の農家とお話ししたところ、一生懸命仕事に取り組む姿勢に共感を覚えたそうです。しかも、お子さんたちが「働く父さんの背中がカッコイイ」と口をそろえたのだとか。

「親が仕事と向き合う姿を子どもたちに見せられるのが農業。子育てするには理想的だと思いました」と伊達さん。7年ほど前に家族で十勝エリアに移住し、紆余曲折を経てゆり根農家として就農しました(詳しくは前回の記事をご覧ください)。

ゆり根は土に含まれる菌やウイルスに弱い作物。同じ畑で育て続けると土中菌が増えていくので、毎年掘り起こしては別の土地に植え替えます。しかも、一度ゆり根を栽培した畑は、最低でも10年ほど休ませなければならないというのです。

「ゆり根づくりの名人にお話を聞くと、ココが一番良いと25年休ませた畑でも、二回目に植えたものは一回目には届かない出来だったそう。つまり、『ゆり根を栽培したことのない畑』も、おいしさを生み出す条件の一つなんです」
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ゆり根は何とも手間がかかるニクい作物。加えて、伊達さんは一般的な「白銀」という品種だけではなく、甘みが強い代わりにデリケートな「月光」も手がけています。病気で変色することも少なくないことから、流通に乗せづらく、直接販売するしか手がありません。

「まあ、新規就農者にとってニッチな商品を自ら売れるのは好都合。だけど...」
だけど?と伊藤が続きを促すと、伊達さんは農業のリアルを切り出しました。

「僕らのような、その土地と縁もゆかりもない新規就農者は立場が揺らぎがちで...。もちろん、農地を貸してくださる方は一生懸命働く様子を評価してくれますし、行政も受け入れには積極的。だけど、例えば農家を継ぐ予定がなかった息子さんが帰ってきたり、娘さんがお婿さんを連れてUターンしたり、事情が変わってしまうこともよくあるんです」

伊達さんも「農地問題」に直面した一人。昨年、突如として今まで借りていた農地が使えなくなり、途方にくれたそうです。ゆり根の栽培をやめるか、農家自体を諦めるか、関西に戻るか、奥様と話し合いました。
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「ゆり根は植え替えと輪作が必要なので、自分の農地を持つとなると莫大な面積を要します。このままでは続けるのは厳しい。だけど、僕らのゆり根を待っていてくれるお客さんもいる。気持ちが揺れる中で、占冠の農家さんから助け舟を出していただきました。『気候条件は恵まれていないけど、あんたがゆり根をつくるなら支えてやる』と」

この申し出に救われ、ゆり根をつくる農地を借りることができた伊達さん。場所が変わっても、おいしさを突き詰める気概は変わらず、現在は占冠で農業と向き合っています。

ここで、お待ちかねの料理が登場!昨年に引き続き、塚田宏幸シェフがポイントを説明してくれました。
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「一品目は、ゆり根の甘みを引き出したポタージュ。自然放牧の母豚のベーコンを加えることで、脂のコクも楽しめるように仕上げました。パンにもたっぷりゆり根を練り込み、巣ごもり風に。パスタはホタテと毛がにの身を使った贅沢版です」

今回の料理は...
◎ゆり根のポタージュ〜母豚ベーコンのアクセント
◎ゆり根のコンプレ〜バター焼き〜
◎ゆり根の 毛蟹 ホタテ タリアテッレ
◎coronのパン
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食事タイムには伊達さんと塚田シェフがお客様のテーブルをラウンド。「またゆり根がつくれるようになって良かったね」「母豚のベーコンを使ったのは肉が熟成しているからなんのかしら」など、楽しい交流の声があちこちから聞こえてきました。
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食事が一段落すると伊達さんと塚田シェフによる後半のトークセッション。「伊達さんの月光は本当においしい。冬にコレを食べるのが北海道の風物詩になってほしいくらい」と塚田シェフが大絶賛します。

「でもね、和え物とかダシで炊くなら白銀のほうが合っていますよ。風味を楽しむ食べ方は月光よりも上だと思います。あんまり白銀をイジメないで(笑)」
伊達さんのジョークを交えたトークに会場は笑いの渦。ここから、「食べ方」にまつわる話題が白熱。昨年、伊藤がゆり根を生で食べるのもおいしいと伝えたところ、お二人は大反対しました。ところが...。
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「実際に試してみたら、食感はシャキシャキしているし、甘みはとうもろこしみたいだし、あれ?意外とおいしいかもと(笑)」と塚田シェフ。お客様にも試していただこうと生の月光をサーブしたところ、おいしいという反応は半数以上でした。とはいえ、伊達さんは「ゆり根のデンプンはゆっくりと火を入れると糖に変わって甘みが増すので、加熱したほうがオススメです」と会場を沸かせます。

塚田シェフがイチオシするゆり根の食べ方は梅肉ソースがけ。沸騰させすぎずに4分ほど湯がき、梅とダシを半々にしたソースを和えると、ゆり根の甘みと梅の酸味の対比が味わえるといいます。

最後の話題はゆり根の保存方法。「ゆり根はマイナス1℃くらいで完全に休眠し、甘みを保てるようになります。ご家庭では冷蔵庫のチルドやパーシャルに入れておくと長く保存できます。その際、オガクズは菌から守る役割を果たすので、取り除かないでください」と伊達さん。
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「伊達さんは家族との暮らしを楽しむために農業の道を選び、それを実践しているのがステキだと思います。新しい地域に移って不安もあるかと思いますが、僕らは引き続きおいしいゆり根に期待大です(笑)」と塚田シェフが締めのご挨拶。

「僕は家族の絆に重きを置いているとお伝えしましたが、もちろん農業というスタイルに愛情を持って取り組んでいます。そうしてつくったゆり根を愛情たっぷりに料理してくれる人がいて、食べてくださる方がいる。それが何よりうれしいですね」

この日の会場限定ミニマルシェには、月光と白銀のセットがズラリ。昨年にも増して手に取ろうとするお客様で大賑わいでした。
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